Everest at sunset

海外トレッキングに必要な装備

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装備に関しては、日常的に登山をされている方は現在お持ちの装備に寝袋を加える程度で事足りるでしょう。私は本格的な登山経験がなく、当初は何が必要なのかの知識もありませんでした。以下、私が現地に持参した装備を記します。10〜11月のトレッキングについてはこれでほぼ問題ありませんでした。

◆帽子
ガイドに「頭を冷やすと高山病にかかりやすい」と口を酸っぱくして言われ続け、常にかぶっていました。
シャワーをなかなか浴びられないので、頭を隠す役目も果たしてくれました。
ポカラで数百円で購入した、耳あてとあご紐つきの帽子で、特に登山に特化したものではありません。
これをかぶって日焼けすると完全にネパール人に化けることができます。

◆サングラス
周囲が雪に覆われて快晴の場合、雪の反射で目がやられる恐れがある(一時的に完全に目が見えなくなることもあるそうです)ので必携。
日本で3000円程度で購入したUVカットできるサングラスが役に立ちました。

◆マフラー、ネックウォーマーの類
一応手編みのマフラーを持っていったものの、結局最後まで使う機会がありませんでした。

◆半袖Tシャツ
日中は陽が出て気温も上がるので、標高2000mぐらいまではTシャツ1枚でも汗だくになります。
ポカラで400円で購入したNorthFaceのTシャツ(もちろん偽物)を着用

◆アンダーウェア
モンベル スーパーメリノウールM.W(ミドルウェイト)上下

概ね標高2000〜3000mあたりではこの長袖のアンダーウェア1枚でOKでした。やはり猛烈に汗をかくので、素早く汗を外に出して蒸発させてくれるこのシャツが非常に役に立ちました。着ているだけで吸湿発熱してくれるので少々の寒さも平気です(防風性ゼロなので風があるときは上に何か着る必要があります)。肌に密着している必要があるので普段の自分が着るものよりワンサイズ小さいものを着用しました。

◆ジップアップシャツ

アンダーウェアだけで寒いような場合に重ね着するつもりで、ポカラで900円程度で購入したものを持参しました。実際にはあまり出番がありませんでした。

◆レインウェア兼ウインドブレーカー
上:モンベル ストームクルーザー
下:モンベル レインダンサー

結局雨中を歩く機会はほとんどなかったものの、標高が上がってからは行動中の防寒着としてストームクルーザーの方は毎日必ず着用しました。5000m以上の標高を歩く場合でもよほど気温が低くない限り日中はアンダーウェアとレインウェアの2枚だけでしのいでいます。

◆トレッキングパンツ
モンベル ノマドパンツ

かなりの寒さを予想して厚めのパンツを用意したのですが十分な耐寒性で行動中に寒いと感じることはありませんでした。

◆トレッキングシューズ
モンベル ツオロミーワイドブーツ

モンベルが出している入門者向けのトレッキングシューズ。私は足が横に広いのでワイド版を勧められました。

トレッキングの際に、登山靴やトレッキングシューズを履いていくのか、スニーカーやスポーツシューズで歩くのは人により意見が分かれるところでしょう。実際ネパール人ガイドやシェルパたちは全員ふだん履きのままで、どんな急坂も岩場もすごいスピードで歩きます。ただし、ガイドたちはふだんこそこちらに合わせてゆっくり歩いてくれますが、いざという時のスピードは尋常ではありません。シェルパ族のガイドはそれ以上です。私自身は彼らと自分の違いをはっきり認識させられたので軽装備にしなくて正解だったなと思っています。もちろん、十分な体力や経験がありふだん履きの靴でも歩き通せる日本人トレッカーも多いでしょうからそこはその人次第です。

◆靴下
ノースフェイス、モンベル 中厚手のトレッキングソックス

足と靴と靴下の組み合わせを出発前に一度試しておいたほうが良いです。靴を履いてピッタリのサイズでも厚い靴下を履くと歩きづらくなることがあります。

◆手袋
市販のウールの手袋、ポカラで200円で購入したインナーグローブ、モンベル ULシェルグローブ

これは失敗しました。登山中は平気でしたが、ゴーキョピークとカラパタールに登ってしばらく滞在した際に、身体は重ね着で防寒できるものの手の冷たさだけで下山しようかと考えてしまうほどでした。雪山用あるいはウィンタースポーツ用の手袋を用意するべきでした。

◆バックパック
ドイター エアコンタクト65+10

旅の荷物をすべて入れるための大型ザック。荷物を自分で持って歩くことを考えてこのサイズにしたのですが、今回のトレッキングに関しては明らかに大きすぎました。登山に不要な荷物はカトマンズなどのホテルで預かってもらえる(下山後にまた泊まる条件で)ので、40リットルか、寝袋などのサイズによってはそれよりも小さいザックで十分事足りるでしょう。大半の荷物をポーターに持ってもらうのであれば自分用のものは最小限のサイズで良いと思います。

総重量については本来であれば7kg程度に抑えるのが正しいと言われますが、私の場合常時持ち運ぶ水も含めて12kg程度になってしまいました。このザックを選んだ最大の理由はウエストベルト(ヒップベルト)が他のどのメーカーのものより頑丈でしっかりしていたことです。ウエストベルトを腰骨の位置でしっかり留めて、重さを腰7:肩3ぐらいの配分になるようにすると意外なほど重さを感じず楽に歩くことができました。ヨーロッパのトレッカーにこのメーカーのザックを使っている人を多く見かけました。彼らも一様に「ザックは腰で持つものだ」「ウエストベルトが最も重要だ」と言っていました。

ザック自体の重さが3kg近くあり購入をためらいましたが、軽量化されている製品はウエストベルトやショルダーベルトなの重さを支える部分が軽量化で弱くなっていることが多く、重さをそれほど気にする必要はないと登山用品店の店員さんには説明を受けました。店員さんいわく、荷物を入れずにザックをウエストベルトだけを持って持ち上げてみて、ザック自体がきちんと直立するかがベルトの強度を見る目安になるそうです。確かに軽量化ザックは自重に耐え切れず倒れてしまうものばかりでした。

その他に、このザックは背中にかく汗の量が少なくなるように背中のパッド部分に特殊な加工がされており、これも汗かきの私にはありがたいものでした。雨に備えてザックカバーも必携です(このザックには標準装備されている)。

ちなみにガイド、ポーターを雇えば荷物を持ってもらい自分は手ぶらに近い状態で登ることができますが、その場合でもポーターに持ってもらえる重さは12kg程度までとの事です。旅行会社経由でポーターを手配してもらう際はそのへんは比較的きっちり決められていると思います。現地で直接雇う場合は交渉次第でしょうか。バックパックでなくボストンバッグのような形態であっても、彼らは持ち手を額にかけて首で荷物を支えて登ります。

◆ロッジでの服装
アンダーウェア:ユニクロヒートテック タートルネックTシャツとインナーパンツ
シャツ:メーカー不明 フリース地のタートルネックシャツ
フリース:モンベル クリマエアライニングジャケット
ダウンジャケット:ナンガ ナノダウンジャケット
ダウンパンツ:ナンガ スーパーライトダウンパンツ

宿にいる間のアンダーウェアは汗の排出機能など考えなくていいので、ユニクロのヒートテックで間に合わせました。あとは手持ちの服をすべて重ね着していくような感じです。個人的にはダウンパンツが非常に役に立ちました(持ってきている人はほとんどいませんでした)。

ロッジでは暖房設備があるのは基本的に食堂だけで宿泊する部屋には暖房はないため、十分な防寒対策が必要です。朝晩は外気温がマイナス10度から15度ぐらいには下がるので、屋内のトイレであっても水は全て凍っていることが多いです。寒さが高山病のきっかけになるケースが多いそうで、風邪を引くと致命的なので要注意です(一度高地で風邪を引いて大変な目にあったことがあります)。

◆寝袋
ナンガ オーロラ600DX

もともと掛け布団が用意されていないロッジも多く寝袋は必携です。正直なところこの寝袋はオーバースペックですが(手元にこれしかなかったので)、そのおかげで就寝中に寒い思いをしたことはなく、他の人が寒さに震える中でも夜は快適に過ごせました。

◆常備薬など

ダイアモックス(アセタゾラミド)
本来は緑内障治療薬で、呼吸中枢に活動を促す作用があるそうで高山病治療(予防)薬として有名。日本ではこの薬がそのような目的でも使われているという事が医師の間でもあまり知られておらず、通常の医院では処方してもらえないと思います。海外旅行や海外トレッキングに精通した医師の指示を仰ぐか、海外で安く購入するかという事になります。

私は過去にインド:ラダック地方で購入したものを持参しましたが、自分の身体がせっかく自力で高所順応しようとしているのを妨げたくなかったので結局使用しませんでした。頻尿、唇のしびれなどの副作用があるそうです。同じく標高の高いチベットでは「紅景天」「高原安」という漢方薬が治療薬として珍重されています。

いずれの薬も高山病に効く「だろう」と言われているだけで効果のほどは定かではありません。服用するのであれば実際に標高を上げ始める数日前から飲み始めることが必要だそうなので、詳しい医師に服薬スケジュールを相談するなどしたほうが良いかもしれません。

日焼け止め
ヒマラヤの日差しは強烈です。地元のガイドたちも毎日顔が真っ白になるまで日焼け止めを塗りたくっていました。

リップクリームなど
極端な乾燥地帯なので、放っておくとすぐに唇がボロボロに切れてしまいます。唇にバターを塗るというチベット式のやり方も。

◆衛生用品

水のいらないシャンプー
特に標高が上がると風邪を引く恐れがあるためなかなかシャワーが浴びられないので代用品として持参しましたが、シャワーの代わりとまではいきません。少しさっぱりした「気分」になる程度です。

ウェットティッシュ
同様に入浴ができない期間の入浴代わりとして持参。朝起きて顔を洗おうにもすべての水が凍っているので、そのようなときにも非常に役に立ちました。これはあったほうが良いです。

速乾タオル
ポカラで300ルピー程度で購入したもの。湿度が極めて低く濡れたものもすぐ乾くので通常のタオルでもよかったようにも思います。

トイレットペーパー
ヒマラヤに限らず、ネパール国内でトイレットペーパーが備え付けてあるところを見たことが無いので必携。

◆電化製品

デジタルカメラ
カメラそのものよりもバッテリーに注意。気温が低いとバッテリーの消耗が早くなるという話があり、予備バッテリーをポカラで購入。実際に電源持続時間が明らかに短くなったようで、頻繁に電池交換とロッジでの充電(有料)が必要になりました。

携帯電話
ヒマラヤ山中でも何ヶ所か電波の通じるところがあり(電波塔のあるゴラクシェプやターメなど)、そこでは平地と同じように電話もネットも使えます。持参したSIMフリーのNexus5に現地で購入したNcellのSIMカードを挿して使用しましたが、ネパール国内外への連絡に非常に役立ちました。WiFiが使える宿も多く(有料のことが多い)、全く外部と連絡がつかない状態に陥ることは少ないです。唯一アンナプルナでは3000mを超えたあたりからガイドも含め下界との連絡ができなくなりましたが、これは山に取り囲まれるという特殊な地理的要因かと思います。

ヘッドランプ
高山病予防に水を大量に飲むので夜も頻繁にトイレに行くことになりますが、真っ暗なのでライトは必携です。それも懐中電灯タイプではなくヘッドランプの方が適しています。また、カラパタールやゴーキョピークで夕陽を見た後の下山時も真っ暗になるので必ずライトが必要になります。

◆あったほうが良かったもの

・ 前述の通り、冬用のしっかりした手袋
・ 軽アイゼン(アンナプルナで季節外れの大雪になり、急斜面が凍結して非常に怖い思いをしましたので)




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